まちと里の両方に役立つ事業を
5×緑では、街に在来種の緑を増やすことを目的にしています。
けれども、厳密に考えると在来種の定義は難しい問題です。取扱いについても、「水系(河川)単位で固定するべき」という考え方もあれば、「遺伝子レベルで整合性を保つべきだ」とする考え方もあります。
私たちは日本列島を、大きく10の植物相ゾーンで捉える考え方を参照しています。これは環境省の「生物多様性国家戦略」に準拠するもので、そこに引かれている線を越えて移さないことを原則に、植物の調達を図っています。
「生物多様性保全のための国土区分/試案」(環境庁1997)より。日本列島の地史的な成立経緯や、地域生態系の支持基盤である植生に影響を与える気象要素に着目して、国土が区分されている。
※但し...は、5×緑が独自に設定している。
しかし現在、在来種の入手は容易ではありません。日本本来の植物相は帰化植物やアスファルトなどの舗装路面に席捲されて、都市郊外からさらに中山間地へ後退しています。里山においても、在来植物の24〜25%が既に絶滅危惧種に指定されている状況です。
先の線引きの中では必要な樹種を調達しきれないこともあるので、5×緑が側面植栽で大量に用いる関東産の定家葛(テイカカズラ)については、私たちの生産者ネットワークの中で自家栽培できる体制も整えてきました。
「地域性種苗生産者の育成」は、時間はかかりますが、大事な仕事だと考えています。
里山の植生は、昔から人が手入れをすることで保たれてきました。とくに草花は人が手で草刈りをしないと維持できません。5×緑は、森づくりを支える人々とも協力しながら、草木の供給を受けています。
私たちは、日本の在来植物を用いることで、まちと里の両方に役立つ事業を育ててゆきたいと思っています。
里山ネットワーク
馬頭の森(栃木)
5×緑から、林床管理委託を行い、森の手入れを行いながら植生の復元を図ります。
2008年から2年間にわたり三井住友銀行の助成により、慶応大学との共同研究がスタートし、慶応+日大チームが植生調査やモニタリング調査に入りました。
慶応大学チームの植生調査
環境ビジネスコンテスト「eco japan cup 2007」(環境省、三井住友銀行、環境ビジネスウィメン主催)の「三井住友銀行賞」受賞を契機に、三井住友銀行の助成による慶応大学との共同研究がスタートしました。
5×緑が管理を委託している森の植生調査やモニタリング調査、埋土種子調査などを実施しました。