恵比寿日和
デザイナーのセキユリヲさんがはじめたサルビアの小物たちは、女子なら誰でも好きである。なかでも靴下は、私の周りの女子たちは、みんな持っていると言っていい。
そんなサルビアさんの蔵前のお店がリニューアルオープンした。
お客様をお迎えする入り口に5×緑の里山ユニットを置かせていただいた。
「古きよきをあたらしく」というサルビアさんのテーマは、私たち5×緑の植物への目線にもつながるものだ。
思えば、5×緑のパンフレットも名刺もセキさんのデザインで、里山ユニットの商品写真はサルビアさんの上の階にあるスタジオcobacoで撮影させていただいた。
レセプションでは、セキさんが今住む、北海道東川町での暮らしと仕事が紹介された。
息を飲むほど美しい自然とともにのびやかに暮らし、マルシェを開いたり、手仕事の教室をはじめたり。
森や花や野菜や空や山や川と人がつながって織りなす暮らしの風景は、さながらセキさんたちが編むカード織のようだなと思う。
里山ユニットを引き取りに来てくださった時に、圃場のメンバーがお渡ししたらしいテイカカズラやナデシコの苗が、可愛い植木鉢に植えられて、可愛いお店に可愛く飾られていた。
まるでオープンを祝うようにナデシコが花を咲かせたそう。
やるなぁ、ナデシコ。
スターライト工業さんから、今年もたくさん筍が届きました。
工場が滋賀の栗東にあって、毎年たくさん筍が出る由。
本社の植栽をお手伝いさせていただいたご縁で、毎年送っていただくようになりました。
今年も、はや筍時がやってきたか!と思います。
毎年、毎年、同じように驚いて、同じように喜んで、皆で分けます。
恒例ですが、歳を重ねるごとに、恙無いことの有り難さが増しています。
季節の便りは嬉しいもの。
勢いよく伸びる筍にあやかって、伸びやかに初夏を迎えたいと思います。
桜舞い散る池のほとりで、懸命に池に向かう小さな亀を見つけました。
木の葉一枚ほどの赤ちゃん亀です。
この小亀がどうしてこんな大冒険をすることになったのかわかりません。
結構長い土の上の距離を、小さな足で一心に池へ向かっていきます。
それは、「懸命」をそのまま形にしたような姿でした。
いつの間にか、3つくらいの男の子が隣に来て、一緒に亀の応援をしてくれました。
「助けてあげたい」と思うのでしょう、思わず伸びそうになる手を、「触っちゃだめよ」とお母さんに止められながら。
花びらが舞うなか、落花2枚を甲羅にのせて、小亀は進みます。
池まであと一息というところで土留め石の窪みに落ちてしまいました。
小亀にとって周りはそそり立つ絶壁に等しく、這い上がるのはとても無理そうです。
「どうしたものか、枝で上に上がる梯子を渡してやるべきか」などと思い悩んでいると、どこぞに裂け目があったのか、池に無事出られたようです。これまた懸命に水の中を泳ぐ姿を見つけました。
思わず隣の男の子と「やったね!」。
小亀の冒険は、男の子にとっても、その日のトピックスだったに違いありません。
そろそろ鯉のぼりも立つ季節。
小さないのちたちが、健やかに育ちますよう。
我が家の里山ユニットのコナラも新芽が膨らんできました。
硬かった冬芽が膨らんでくるこの時期、日々の変化を観察するのが楽しみです。
特にコナラは銀色の産毛を纏っていて、粒だつように踊る春の光に輝く姿は、称嘆せずにはいられません。
毎年見ていても、見惚れてしまいます。
数年前、内山緑地さんで新緑のコナラの大木を見る幸運がありました。
樹冠全体が陽光を受けて銀色に輝く姿は神々しいほどで、忘れ難い風景の一つです。
撮影 4月2日
5×緑のオフィスがある合羽坂テラスでは、里桜が満開です。
里桜はソメイヨシノよりも開花が遅いのが特徴で、合羽坂テラスのそれは、ほんのり紅をさしたような愛らしい八重の花です。
植えられた時期はわかりませんが、このマンションが建った頃だとすると50年近く経っています。
大分弱ってきており、1本は伐られてしまいました。
ある日、その切り株からひこばえが。
老いて幹にはキノコを纏っていたあの桜にこんな力が眠っていたとは、自然更新とはこういうことなのでしょうか、この庭でどんな風に育っていくのかしら、色々な思いが巡ります。
寒気が押し寄せる候ですが、東京は師走日和の一日でした。小春日和とも。
昔は冬枯見といって、今日のようにお天気の良い日にわざわざ枯野見物に出かけたりしたそうです。
確かに枯葉もよく見るとシックでお洒落で、冬ざれた色調は季節感とあいまって味わい深いものがあります。
写真:新宿 合羽坂テラスから 撮影 masacoさん
立冬から数えて十五日目が小雪。季節が一つ進み、合羽坂テラスも枯れ色が増してきました。
写真:新宿 合羽坂テラスから 撮影 masacoさん
置き忘れた秋がようやく戻ってきたような秋天のなか、暦ははや冬へ。
暦の上では冬とはいえ、東京では紅葉の見ごろはこれからです。
イロハモミジやガマズミが色づきはじめた合羽坂テラスに、赤蜻蛉が訪れてくれました。
照紅葉、赤蜻蛉、夕焼け小焼け。
こんな都会の真ん中にも、昔ながらの童謡を思い出す景色があります。
写真:新宿 合羽坂テラスから 撮影 masacoさん
秋天に恵まれた今日の東京。二十四節気は、寒露から、露が凍って霜になる候へと季節が進みました。
合羽坂テラスでも、葉が色づきはじめています。
なかでも赤が際立つのはニシキギです。
名前の通り見事な紅葉を見せる樹で、この時期には紅色の実を結びます。
ニシキギは、面白い樹で、枝に「翼」と呼ばれる板状の張り出しをつくります。
こんなものを苦労してつくるわりには、その目的がよくわからないと聞いたことがあって、そんなところにもなんとなく愛着がわく樹です。
写真:新宿 合羽坂テラスから 撮影 masacoさん
二十四節気は、秋分を挟んで白露から寒露へ。
草花に白く宿った露が凍って霜になる頃。
朝夕冷える時節とはいえ、ここ数日の急な冷え込みには常ならぬものとを感じます。
ここにも気候変動の影響があるのか、秋晴、秋風、秋の空、そんな爽やかな秋が遠くなってしまったような気がします。
合羽坂テラスでは、ガマズミが艶やかな赤い実を結んでいます。
ガマズミは、春にはレースのような花を咲かせます。
春にも秋にも楽しめて、実は果実酒にも。
里山ユニットに定番の植物です。
写真:新宿 合羽坂テラスから 撮影 masacoさん
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