活動レポート&里山便り
2010年
5×緑は7月にもこの場所でどんぐりキューブづくりのワークショップを行いましたが、
今回もまた、屋上にブースを出してワークショップを行ってきました。
7月イベントのレポート
https://www.5baimidori.com/satoyama/activity/201007-post-29.html
少し色づいた里山ユニットを展示して、前回からの季節の移り変わりを感じていただければ、と
都市に住む人たちへのメッセージを託しました。
5×緑ではおなじみ、マスコットガールのこはるちゃんもお手伝いに来てくれました!
同じく、参加者として来てくださった富士植木の松本さんと一緒に仲良くキューブづくり。
どんぐりキューブをつくるのはもう何個目?という半ばプロに近いこはるちゃん。
手つきも慣れています。「5×緑とは・・・」のお話だってできるのです。
普段は東京に住んでいるけど、すっかり里山メッセンジャーです。
寒いなか、今回もたくさんの方にご参加いただき、イベントは大盛況でした。
副都心新宿のど真ん中にある1本の苗木はサイズにすればちっぽけなものかも
しれませんが、ここでお話を聞いてくださり、想いを込めてキューブをつくって
くださった皆さんが、この苗木を持ち帰り、季節を感じながら育ててくれたら
いつか新宿が緑で埋め尽くされる日も来るかもしれません。
そんな楽しい想像を、皆さんもしてみませんか・・・?
ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!
無事に発芽したので、この苗を使ってどんぐりキューブをつくり、都会に住むひとたちに
里親になってもらおうというイベントが、馬頭の森で開催されました。
昨年のイベントレポートはこちら
https://www.5baimidori.com/satoyama/activity/200912-post-17.html
発芽したどんぐりの苗に関するレポートはこちら
https://www.5baimidori.com/satoyama/activity/201008-post-30.html
気持ちよい秋晴れの土曜日、馬頭の子どもたち、林業振興会の皆様、東京からの
参加者たちが集合し、まずは来年に向けてのどんぐりポットづくりからはじめました。
今年はどんぐりが落ちるのが早かったので、馬頭の皆さんが事前に拾っておいて
くださったどんぐりを、来年の春に発芽しますように・・・と願いを込めてポットに植えました。
子どもたちは2年目なので、ずいぶんと慣れた手つきでポットを作っていきます。
東京からの皆さんも、ポットづくりから参加されました。5×緑のワークショップを
イベントで何度か開催してくださっている、新宿フラッグスビルの方も、里山活動のことを
もっと知りたい、と参加してくださいました。
どんぐりポットを作り終えたあとは、皆で里山を散策して、林業振興会の皆さんに
伐採の現場を見せていただきました。実際にチェーンソーを使って木を切り倒す
迫力の現場を、都会からの参加者たちは息を呑んで見つめていました。
戻ってくると、里山の秋の恵みをたっぷり使ったご馳走が用意されていました。
今回も、林業振興会の奥さまたちによる、手作りのお昼ごはんです。
手作り蒟蒻、豚汁、栗おこわのおにぎり、ゆず味噌、どれもこれもおいしくて
歓声が上がっていました。このとき配られた割り箸は、日光杉の端材を有効活用して
つくられたもの。国内の木材の需要を高めて林業を支えていくためにも、こうした
割り箸がもっと広がると良いですよね。
お腹もいっぱいになったところで、メインイベント、どんぐりキューブづくりです。
子どもたちは、昨年それぞれが大切に発芽させてポットを持って集合します。
皆、愛しそうに苗を眺めていました。苗をキューブに植え替えて、コケを飾って
小さな里山をつくります。
できあがったどんぐりキューブを手に、はいチーズ!
ちょっと照れている馬頭ボーイズです!
都会に持ち帰られたどんぐりキューブたちが無事に育ち、大きくなってきたら
いつか馬頭の森に里帰りすることもできるかもしれません。どんぐりキューブは
里山と都市をつなぐメッセンジャーなのです。
イベントの最後は、馬頭を拠点に音楽活動をされている岡倉ゆかりさんのミニ・コンサート。
気持ちよい秋の風と、岡倉さんのやさしい歌声につつまれました。
途中、子どもたちが楽器をたたいて参加する場面も。
懐かしい唄は、皆で一緒にうたいました。
最後にフラッグスの熊谷さんからご挨拶をいただき、里山を守るという活動も
実はそんなに難しいことばかりではなく、身近なところから、できることから
やっていけば良いということがわかりました、とお話していただきました。
チーム5×緑では、これからも都市と里山をつなぐ企画を色々と考えていきたいと
思っています。ぜひ、機会をみつけて参加してみてください。
きっと何かのきっかけになると思います。
馬頭ボーイズもお待ちしています!
「生物多様性とちぎシンポジウム」が開催され、
里山ネットワークの佐藤昭二さんがパネリストとして参加されました。
佐藤さんは「これからの里山の活用法について」というテーマで、
5×緑と連携した里山での活動について、
昨年5×緑が作成したDVDや活動状況の写真を用いて発表しました。
DVDの内容は、神奈川県の高校生達が5×緑のユニットの製作体験をしてから
栃木県那珂川町の里山に出掛けて、地元の高校生達と一緒に草刈り体験などをして、
農家民泊して、さらに神奈川の学校に戻ってから感想を話し合うというものです。
・このDVDがものすごい反響でした!
・パネリストの一人は「観ていて涙が出そうになりました!」と感動していました。
・また他のパネリストやシンポジウムの参加者から「是非このDVDを購入したい」
という声も寄せられました。
また、活動状況の写真では、里山の植物を活用して作った5×緑ユニットや
5×緑へ植物を提供するための管理活動、地元の子供達に関心を持ってもらうための
ドングリポットづくりなどが紹介されました。
・実際にドングリキューブを持って活動内容を解説
発表の中では、とりわけ都市緑化と連動した里山の管理活動の推進ということが、
これまでに例のない画期的な取り組みとして関心が持たれ、
他のパネリストからも「興味深い取り組み」として様々な質問がありました。
パネルディスカッションの最後も5×緑が取り上げられ、
「面白い取り組みが進められている」として締めくくられました。
佐藤さん、本当にお疲れ様でした。
・里山ユニットやドングリキューブ、森のクラフトの作品達も会場を演出しました。
・シンポジウム終了後はたくさんの人達が撮影していました。
(レポート: 矢澤光一)
資金49,200円は、2010年6月8日に里山本舗の佐藤昭二さんにお渡ししました。
佐藤さんから、活動資金の活用について、こんなレポートが届いています。
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先日預かりましたドングリ貯金ですが、今年植えつけた
1.5haのナラ山の下刈の費用の一部に使わせていただいています。
ご存じのように下刈は、植えつけた木の苗が草や灌木、ツルなどに
よって生長を阻害されないよう、それらを人為的に取り除いてやる
行為です。草などの生長やそれらに対するダメージなどを考慮して、
この暑い時期に行います。作業は、暑さのため午前5時から午前11時30分
ごろにかけて行います。林業の中でも過酷な仕事で、2~4リッターの水分を
摂取しながらの仕事となります。また、ハチやマムシ、ケムシなどにも気をつけなくては
なりません。この下刈を何年か続けることによって、人の手で植え付けされた木の苗は
無事生長することができます。
イベントが開催されました。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.5baimidori.com/satoyama/activity/200912-post-17.html
そのときのポットは、馬頭の子供たちひとりひとりが持ち帰り、大切に水やりをして
育ててくれた結果、この春に無事に芽吹き、すくすくと育っています!
子供たちの笑顔、とてもいいですね。
5×緑では、このどんぐりの苗で、どんぐりキューブをつくりたいと思っています。
せっかくなので、都会に住む子供たちにつくってもらえたら・・・
馬頭の子供たちから、都会の子供たちへ、どんぐりキューブは里山からのメッセンジャーです。
参考リンク:
※どんぐりキューブプロジェクト
※コラム:誰のための緑?
そのそばで、若者たちが一心にどんぐりの苗を植えている。
ちょっと不思議な光景。でもワルクナイ。全然ワルクナイ。
新宿のファッションビル・フラッグスとTokyo FMコラボのECO SUMMER FES。
ブースをひとついただいて「どんぐりキューブ」のワークショップを開いた。
ステージではロックやポップスのライブで盛り上がっている。
こんな光景を成立させる、「どんぐり君たち」の健闘を讃えたい。
この前は、東京駅隣接の高層タワーの一室で、丸の内の金融マン&ウーマン相手に
「どんぐりキューブ」づくりをやった。
企業のCSR活動の一環ということだった。
いつもは投資や金融商品のプレゼンテーションが行われているであろう
カンファレンスルームに、コナラやらクヌギやらシラカシやらのベビーたちが
勢揃いしたのも圧巻だったが、スーツ姿のパワーエリートな人たちが、かなりの
真剣モードで苗木を選び、一生懸命植えている姿は、微笑ましくもあり、心和むものだった。
その時も思ったのだ。「どんぐりはエライ」って。
新宿のイベントは、Tokyo FMの人気番組「シナプス」の公開録音も兼ねていて、登場
するアーチストたちが思い思いにエコについて語っている。
タワーレコードはじめフラッグスのお洒落なショップのレジには「どんぐりキューブ」
が置かれ、「どんぐり君たち」はイベント告知にも一役かったのだった。
そんなイベントだけに、ワークショップに参加してくれる人たちもいつになく若い人
が多かった。もちろん夏休みだけにちびっ子たちの姿も。
SHIPSかAMERICAN RAG CIE着用? とおぼしきおっしゃれーな若いコたちと子どもたち
が1つのテーブルを囲んで、どんぐりの苗を植えている姿って、ナンカイイ。
みんな、最初はすごく真剣。
でもどんぐりキューブができるあがるにつれ、だんだん笑顔がひろがっていく。。。
1時間も前からブースのまわりをウロウロしていた小学生。
できた「どんぐりキューブ」を見せあいっこしているカップル。
あっちでは、できたてを写メでパチリ。
こっちでは「どんくりキューブ」と記念撮影をしている。
「できたよーっ!」。お母さんに見せにいってほめられてる子。
苔の下にこっそりどんぐりの種を隠して「どんぐりの雨宿り」って、にっこり笑った
男の子。
つくった「どんぐりキューブ」を大切そうに抱えて「この後、どんな風にお世話をし
たらいいですか?」と問いかけてきた小さな女の子の真剣な眼差し。
わたしたちは、この眼差しを決して忘れないだろう。
うぅん、もっとちゃんと言おう。
この眼差しを忘れない限り、わたしたちはこの仕事を続けていられる、と思う。
「わたしたちは、街に緑を増やす仕事をしています」
イベントの自己紹介でもそう言った。
この生業(なりわい)を一般には「造園業」と呼ぶらしい。
ところが、どうしたわけだかこの「業」につかっていると「誰のための、何のための
緑なのか」ということを忘れそうになる。
でも、みんなに教えてもらった。
「誰のための、何のための緑?」
目の前にあったシンプルな答え。
我らの優秀なメッセンジャーにしてタレントである「どんぐり君たち」は、今度は渋
谷のエキナカのエコ&ファッションのイベント(~8/4)に登場している。
・我らが「どんぐりキューブ」
・「笑顔のアーカイブ」とくとご覧じろ。
・こんな大っきなビルで。
・こんな風に。
・みんな一生懸命
・だって新宿ってこうだもの
文章: 宮田 生美
今回は、人工林から伐り出された原木の市場の様子です。
山を降りた私たちは、嶺北木材市場へ向かいました。
山から伐り出された木は、市場に集められ、取引されます。
全国各地のハウスメーカーなどからも買い付けにくるそうです。
嶺北の杉の特徴は、中心部のうすいピンク色。(写真では色が出ていないのですが)
このピンクの杉は、水に強いので、お風呂場など水回りによく使われるそうです。
そして、ここに集められた原木には、「SGEC」のラベルが貼られています。
SGECは、日本独自の森林認証です。(国際的な森林認証としてはFSCが有名です)
「緑の循環」認証会議という独立した第三者機関によって
持続可能な森林経営、管理を認証しています。
嶺北では、地域全体でこのSGEC認証の取得を目指し、平成19年に
約4千ヘクタールの認証取得と、認証材を扱う事業体の認定を取得しています。
このような認証取得を目指す背景には、もちろん環境に配慮した
森林管理を徹底するという目的もありますが、市場での競争力を高めたい
という意図もあります。
木造建築が一般的であった昔に比べると、国産の木材の需要は圧倒的に
減少しています。また、安価な外国産の木材輸入が一般化したことにより
国産木材の市場価格も下落しています。これもまた、林業が低迷している
大きな原因です。山から気を伐って運び出すには、コストがかかります。
それを市場で売ったとしても、コストを回収できなければ
伐るよりも放置したほうがよい、ということになってしまいます。
これは本当に頭の痛い問題です。
嶺北でも、なんとかして木材のフェアトレードが可能にならないかと
いろいろと新しいアイデアを模索しているところです。
その1に書いたことをもう一度思い出してみます。
このまま人工林を放置すると、山はどんどん死んでいきます。
山に宿る美しい生物たちの世界も失われていきます。
土砂災害などの危険性も増加します。
今の日本では「木は切らなくてはいけない」のです。
なのに今、国産木材は市場で優位な立場にありません。
山の仕事をする嶺北の皆さんが一生懸命新しい道を模索するのと並行して
消費者である私たちも新しい道を考えてみる必要があるのでは、と思います。
家具を買うとき、家を建てるとき、部屋を選ぶとき、値段や見た目だけで
なく、そこで使われている素材のことを思い浮かべてみる余裕が欲しいです。
その素材の背景にあるもの、それを選ぶことの意味。
個人的な話になりますが、実家のリフォームにあたり、大工さんに
高知県産の杉と檜を指定して、柱や床板に使ってもらいました。
杉は心地良い温かさが伝わってくる木材なのですが、そこに
手を触れていると、将太くんに連れていってもらった「良い森」の
風景を思い出すことができます。
5×緑の里山ユニットも、眺めていただくことで、日本人の心の風景である
里山を思い浮かべてホッとしていただけることを願って作られています。
国産木材の家や家具も同じように、そこに住む人、使う人の心に、
日本人が古代から受け継いできた山の風景が宿るのではないかと思います。
次回は、製材工場の様子や、嶺北の木材を売り出すための
新しい取り組みについてレポートしたいと思います。
取材・執筆:宮垣 翠 (5×緑スタッフ)
滋賀県高島町の畑地区は私たちの関西でのアゼターフの生産の拠点ですが、
この5月で約4年間続いた活動を中止することになりました。
理由は、地主の澤井さんがご高齢となり、息子さんに代替わりする日が近くなってきたこと、
それと畑の管理をお願いしていた棚田保存会の会長の宮脇さんも76歳とご高齢になり、
これ以上のご負担をおかけするのも、忍びなくなってきたことがあげられます。
この4年間には植生調査はもちろん、一緒に草ひきを行い、その都度、生育状況を確認し、
これからようやく本格的な生産体制に入れると思っていただけにとても残念。
とはいえ、私たちも遠隔地でなかなか頻繁にうかがうこともままならず、中止の判断も
やむをえないものとなりました。
5月の連休明け、最後のご挨拶と畑の状況を確認するため、現地に向かいました。
この時期は、ちょうど田植えが終わったばかりで、あたりはまさに水鏡。
澄み渡った空に薫風が吹きぬけ、それは気持ちのよい里山の風景が広がってきます。
76歳とは思えぬ宮脇さんの達者な運転で、現地に到着。まず、何はさておき、棚田へと向かいました。
私たちが伺うのは、昨年の夏以来約一年ぶり。畑に入って驚いたのは、一気に
帰化植物が増えていたことでした。
原因は、周辺からの侵入が防げなかったことによると思われますが、なかなか草刈が
追い付かず、この春に一気に芽吹いたものと考えらえます。ただし、それでも畑の一部、
加えて棚田の土手にはまだまだ在来種の植生が残っていることを確認できました。
やはりよほどの知識と意識を持ち、守っていく環境を整えない限り、なかなか在来種を
守っていくことは、難しいことを痛感しました。
この貴重な経験は、馬頭での植生調査結果と合わせて、我々チームの貴重なデータに
なるはずです。
気を取り直して、畑を後に、澤井さん宅に。
いつも笑顔のお母さんに招き入れられて、春炬燵ならぬ初夏炬燵に入って、しばしお茶話。
高齢化と過疎化の進行は深刻ですが、それでも、里の暮らしを都会の人たちに味わって
もらうため農家民泊制度もスタートし、お母さんはその準備に追われていました。
「せっかくのご縁を無くするのはとてもさびしい。これからも来てくださいね」。
いつものことながら、帰り際には、両手に手づくりのカキ餅や蕗、筍の佃煮など里のごちそうを
ぶら下げていました。
私たちが畑を尋ねたのは、計5回。全くの飛び込みでスタートした畑での活動でしたが、
棚田という特殊な環境での4年間の植生調査は、これからの関西での活動に伝えていく
貴重な内容です。
いつも山で歩き回ると元気になるという宮脇さん、畑の様子をいつも細かく報告しれくれた松本さん......。
在来植物はもちろん、そこで出会う在来生活、在来びととのつながりも、5×緑が伝えていく
使命の一つだと痛感しました。
http://www.shoei-web.co.jp/news/20100207.htm
田植えが終わったばかりの棚田
多くのアマチュアカメラマンがやってくるのも納得の風景
畑の具合をチェックする宮脇さん
土手部分はアゼターフの採取に適する植生が確認できる
畑の中には在来種に混じってヒメジオンなどの外来植物がかなり増えていた
この記事のタイトル「森の未来に出会う旅」は、私(5×緑スタッフ・宮垣)が、
地元・高知県で出会った高知大学の大学院生、井上将太くんが企画・実施している
「建築士のための木造建築セミナー」のタイトルです。
森の未来に出会う旅 - 森から学ぶ木造建築の建築士セミナー in 嶺北
http://www.mori-mirai.com/index.html
高知県は森林面積率が84%で全国1位なのですが、他地域と同じように
林業従事者の減少や、国産木材需要の低迷により、山の荒廃は進んでいます。
高知県内でも、嶺北地域と呼ばれるエリア(土佐町、大豊町、本山町、大川村、旧本川村)は
特に森林率が高く、県内でも有数の歴史ある林業区域ですが、地域人口の減少と高齢化は
歯止めがきかず、日本の山村地域が抱える共通の問題が浮き彫りになっています。
実家は大工さんという将太くんは、大学1年のときに高知の出版社「南の風社」が主宰する
「いなかインターンシップ」というプログラムに参加し、嶺北地域の木材会社で
インターンをしたことがきっかけで、日本の林業が抱える問題を目の当たりにしたそうです。
その後、林業が支えてきたこの地域をまるごと盛り上げたい!という強い想いから
上記のようなセミナーを企画し、この5月からは地域に移り住んで、住民の方々と共に
未来を切り開こうとしています。
ゴールデンウィークの最終日、そんな将太くんを訪ねて嶺北を訪れたところ
木を切り出している森から、原木市場、製材所、木造建築のモデルハウスまで
木材流通の一連の流れをミニツアーで見学させてもらえることになりました。
そのミニツアーのことを、何回かにわけてレポートしたいと思います。
まず最初に訪れたのは、人工林の集団間伐の目的のために設定された「団地」です。
土佐町の毛知田というところにあります。 団地化とは、所有者の異なる小さな山林を
効率良く間伐するために一つの施業区域としてまとめることをいいます。
雨がしとしと降るなか、将太くんについて森の奥深くまで歩いて行きました。
まず最初に立ち止まったこの場所で、将太くんから出題。
「この森は、良い森ですか?悪い森ですか?」
5×緑に興味を持ってくださる皆様ならすぐにわかるかもしれません。
私は人工林の間隔よりも、地面に何も下草が生えていないことが気になり
「悪い森!」と答えましたが、正解でした。
団地の看板にも書いてありましたが、理想的な人工林は、適度に間伐されて
陽が射し込み、足元には豊かな植生(下草、広葉樹)が生茂る森です。
このように間伐されていない森は、陽も射し込まないので非常に暗く
足元には枯れた杉の枝葉だけが重なっています。 立ち枯れしてしまっている
杉もたくさんあります。 下層植生もなく、生き物のいない土壌は大切な雨水を
貯め込むことができず、水源機能は低下し、土砂を流して災害発生率を高めます。
まさに死の森と化しています。
しかしこれでも遠くからみれば、今は杉の葉の緑に覆われているため
「緑の森」に見えるのです。 外から見れば緑だけれど、その中は乾いた森。
まさに、「緑の砂漠」なのです。
すぐその隣には、何年か前に間伐された人工林がありました。
これが本当の「良い森」、豊かな森ですね。
写真が明るいのは、カメラの撮影方法を変えたからではありません。
それだけ陽が射し込み、緑が広がっているのです。
土壌はふかふかで、鳥や虫がたくさんいます。
そして、緑の砂漠との間には、まっすぐな境界線がありました。
5×緑での仕事を通して、間伐や森林管理の必要性は理解しているつもりでしたが
この境界線を目にしたときは、胸がずきんと痛みました。
この境界線をひくのは、人間の手なのです。
戦後の住宅建設ラッシュ時に大量に植林された木は、今まさに成熟期を迎え
間伐・伐採を必要としています。 昔小学校の授業で、アマゾンの森林伐採について
学び、「木は切ってはいけない」と思いこんでいる人はまだたくさんいます。
でも、今の日本では「木は切らなくてはいけない」のです。
嶺北ミニツアーのレポート、第1回はここまでにします。
次回は、木を切るために必要なことを確かめるために、山を降り、
原木が木材として使われていく過程をレポートしたいと思います。
取材・執筆:宮垣 翠 (5×緑スタッフ)
刈り払い・講習会が馬頭の森で開催されました。
森の管理をボランティアで進める「森すま」の皆さんの技術習得のために、5×緑の里
参加者はほとんど初心者ばかりの16名。
「森すま」のメンバーと、森づくりの活動に関心のある大地を守る会職員有志の皆さまです。
「森すま」では、筑波山麓で1.3haの森を借り受けて、生産者の方々とともに整備を進めており、
今回の講習では、その活動にあたって安全に作業するための機械(刈払機、チェーンソー)の
基本的な使い方、作業方法を学びました。
佐藤さんからは「皆様とても熱心で、積極的で、時間が足りず、今度は1泊でということで
解散しました」というお便りが届きました。
今回の講習会は、「栃木県森林組合連合会主催の林業就業希望者講習会で佐藤さんが
実現しました。 佐藤さんや馬頭の森の叡智が広く生かされていくことは
大変うれしいことです。
※ご参考:森と木の住まいづくりフォーラムの概要
従事者も年々高齢化が進んでいます。一方、住まいに目を向ければシックハウス
が社会問題となり、その健康被害が各地で報告されています。このような状況を
前に、「日本の森を守っていくこととは」、「安心できる住環境とは何だろう」
ということをきちんと考え、森と家をつなぐ活動として一歩ずつできることから
取り組んで行きたい、というのが森すまの活動テーマです。
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