恵比寿日和

小亀の大冒険

桜舞い散る池のほとりで、懸命に池に向かう小さな亀を見つけました。
木の葉一枚ほどの赤ちゃん亀です。

この小亀がどうしてこんな大冒険をすることになったのかわかりません。
結構長い土の上の距離を、小さな足で一心に池へ向かっていきます。
それは、「懸命」をそのまま形にしたような姿でした。

いつの間にか、3つくらいの男の子が隣に来て、一緒に亀の応援をしてくれました。
「助けてあげたい」と思うのでしょう、思わず伸びそうになる手を、「触っちゃだめよ」とお母さんに止められながら。

花びらが舞うなか、落花2枚を甲羅にのせて、小亀は進みます。

池まであと一息というところで土留め石の窪みに落ちてしまいました。
小亀にとって周りはそそり立つ絶壁に等しく、這い上がるのはとても無理そうです。

「どうしたものか、枝で上に上がる梯子を渡してやるべきか」などと思い悩んでいると、どこぞに裂け目があったのか、池に無事出られたようです。これまた懸命に水の中を泳ぐ姿を見つけました。
思わず隣の男の子と「やったね!」。

小亀の冒険は、男の子にとっても、その日のトピックスだったに違いありません。

そろそろ鯉のぼりも立つ季節。
小さないのちたちが、健やかに育ちますよう。

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