恵比寿日和

ワールド・カップ インシデント

ワールド・カップが近付づくと、"さる筋"から、参加国の旗をつくる指令がやってくる。

旗の作成においては、厳しく仕様が定められている。

曰く、
・送付される指定の台紙(152×102)を用い、指定の型紙を使用すること。
・ノリは「アラビックヤマト」が指定品のこと。
・色ごとに使用したものを記録すること。

そして、何よりも厳しく管理されるのは、旗作成において使用する"色紙"は、ゴミとして捨てるモノを材料とすること。
菓子や洗剤のパッケージ、包装紙、チラシの類がその対象となる。

例年は、予選リーグの頃に"指令"があるため、「今年はないか...」とタカをくくっていたら、W杯気運も盛り上がる5月になって、突然くだんの仕様書が送信されてきた。

慌てて、うち捨てたミセスロイドのカラ箱をゴミ箱から拾い(何しろ旗づくりにおいて、この種のブルーは貴重である)、
いつもなら素通りするチラシを笑顔で受けとり、
ダイエットのために控えていたチョコレートを買い、
紙袋をひっくり返して求める色を探し―という日々にあいなる。

旗がフランスやイタリアならカンタンだが、メキシコやスペイン、サウジ―となると職人技が求められる。

5×緑にあてがわれた旗は5カ国(各国2枚づつ作成)。
スタッフ全員で取り組む。
「何のために作るのか」という新人のM本君の戸惑いは「そんな無粋なことを聞くもんじゃない!」の一言で瞬殺される。

6月2日、"さる筋"の方が検品にやってきた。
6月にしては、異例の暑さを押しての検品である。

旗を完成できていなかった私はあわてふためき、見積りも図面も全て打ち捨てて、旗づくりに勤しんだ!

旗はひとつひとつ丁寧にチェックされ、ダメが出ると容赦なく修正を求められる。
ドキドキしながら検品を受け、何とか合格。

作った旗は貼りあわされて1枚のポスターとなり、作成に参加した者には縮小コピー版が下賜される。

こうして我々のW杯気分は、いやがうえにも盛り上がっていくのであった。
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2006年 FIFA WORLD CUP ドイツ大会 のフラッグ・ポスター
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不用品の紙で作成した旗
写真 2014-06-02 17 36 54.jpg


見本の旗を張り出して作業
W旗2.JPG

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