恵比寿日和

虹を見る「ひと」

先日、田瀬さんと電車でご一緒する機会がありました。

「ほら、あれ」と田瀬さんが指差す先には、30代くらいのネクタイを締めたサラリーマンと思しき男性が2、3人、窓の外へ向けて一生懸命携帯カメラを向けている姿がありました。

カメラの先には虹が。

「あ、虹ですね」と返すと、「虹を見るとうれしいんだねぇ」と田瀬さん。

田瀬さんは虹ではなく、虹をみつけて顔を輝かしている「ひと」を見ていた、のです。

ランドスケープ・デザイナーとしての田瀬さんの仕事を、植物を増やすことでも緑をきれいに配置することでもなく、「ひとの居場所をつくる」ことだと看破した、西村さんの本のことを思い出して、ひとりでに顔がほころんでいました。
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