恵比寿日和

「まぁるい田んぼ」のつくり方ー2.田づくりの道具


田んぼに水を貯めるために重要なのが「くろ」塗りの作業だそうです。
畦の下の水が溜まっている部分、これを「くろ」というそうで、毎年田植え前に、前の年の「くろ」を切って(くろば切り)土を塗り直し、「くろ」をつくるのだそうだ。

普通は機械で行う作業ですが、機械の入らない佐川さんの田んぼでは、今も鍬で「くろ」づくりをしています。

今回、佐川さんとの橋渡しをしてくださったのは、5×緑里山ネットワーク「馬頭の森」の佐藤さん。その佐藤さんのお父さんが、長年使い慣れた鍬を見せてくださいました。

木の柄に鉄の刃。
風呂に刃がしっかりと食い込んでいて、留め具一つありません。
傷んだ刃は、鍛冶屋が鍛え直したそうです。
佐川さんも「これはいい鍬だ」と目を細めます。

今ではもう、こんな道具は手に入らないのだとか。
刃はボルトで固定されるようになり、傷んだ刃の手入れをしてくれる鍛冶屋もいなくなりました。
ボルトで固定された鍬は「くろ」に土を塗りつけると、2本の筋のボルトの跡が残るのだとか。
その鍬の作業も、「くろ」づくり用のアタッチメントを装着した機械が主流の今は珍しくなっています。

佐川さんの田んぼでは、「くろば切り」も、田植えも、稲刈りも、夫婦ふたりで作業します。
ご先祖の開いた小さな棚田で、人の手だけで行われる米づくり。それがとても尊いものに思えました。
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