恵比寿日和
京都のこと 町家のこと 1 省の生活作法
2011年11月24日
この秋、京都に旅をした。
町家の造りに通じる古い宿に泊まって、あらためて京都の、ひいては古くからの日本の暮らし方について感じるところがあった。
京都の暮らし方を見ていると、元々日本人は無駄を省くことの上手な民族だったのではないかと思える。
無駄なことはしない、もったいないことはしない。
物の中にも命の宿りを感じ、古びた物も繕い、手を入れ、別の物に姿を変えて再生させてきた。
町家も然り。
家の部材は使い回しがきくよう、最初から考えてつくられている。
「破壊」や「解体」ではなく「生けこぼち」。
そこからは「省の生活作法」「始末の美学」とでもいうべき昔ながらの暮らしの知恵が透けて見えてくる。
暑いときは暑いなりに、寒いときは寒いなりに、自然に寄り添い、知恵を傾けて暮らしていた。
それだけに、暮らしは一層愛おしく、慈しみ深いものだったのではないだろうか。

夏座敷。生絹(すずし)の簾、簾戸、藤の敷物。
夏の暑さをしのぐ工夫。
写真:「京都の意匠」建築資料研究者
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