恵比寿日和
私の好きな本 その1 「自分の仕事をつくる」
2011年8月25日
夏休み、と言えば読書感想文、というわけではないのですが、
この夏「私の好きな本」をテーマに、スタッフでブログをリレーします。
第1回は西村佳哲さんの「自分の仕事をつくる」(晶文社/ちくま文庫)です。
そこには新しい視点を開かせてくれるたくさんの言葉が詰まっていて、一時(いっとき)はお守りのようにいつもかばんに入れていた。
最近、「安い!」とか「早い!」とか「便利!」とかいうのはもういいんじゃないかと思うことがある。
もちろん、価格は商品にとって大事な要素だし、便利なグッズに囲まれて怠惰に生活する私が言うのも気がひけるが、「安い」とか「カンタン」とか「手間要らず」とか、そんなことばかり追い求めているうちに、大切なものがボロボロと指の間からこぼれ落ちていくようで、不安になる。
こんな流れを少しでも変えることができるのだろうか。
そんなことを感じていたときに、この本に出逢ったのだ。
そして「まえがき」の言葉に勇気をもらえた。
〈結果としての仕事に働き方の内実が含まれるのなら、『働き方』が変わることから、世界が変わる可能性もあるのではないか。〉
〈この世界は一人一人の小さな『仕事』の累積なのだから、世界が変わる方法はどこか余所にではなく、じつは一人一人の手元にある。〉
あぁ、本当にそうだなと思う。
この世界がどうであるのかは、自分次第なのだと思い定めることから小さな変化がはじまるのにちがいない。
***
この夏「私の好きな本」をテーマに、スタッフでブログをリレーします。
第1回は西村佳哲さんの「自分の仕事をつくる」(晶文社/ちくま文庫)です。
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「まえがき」を読んで「やばい」と思った。
5×緑をはじめて7年。ものづくりのはしっこに身を置かせてもらって現場をのぞくうちに、胸の中にもやもやとたまるものがあった。漠としていた問題意識の核心をわしづかみにされて「ホラッ、これでしょ」って見せられたような新鮮なおどろきとスッキリ感。そして、心にしんとしみてくるメッセージが、その「まえがき」には詰まっていた。
私がここであれこれと解説するよりも「まえがき」を引用させていただいた方が早いと思う。
著者の西村さんは、「まえがき」をこんな風に始めている。
〈目の前の机も、その上のコップも、耳にとどく音楽も、ペンも紙も、すべて誰かがつくったものだ。街路樹のような自然物でさえ、人の仕事の結果としてそこに生えている。〉
けれども〈様々な仕事が『こんなもんでいいでしょ』という、人を軽くあつかったメッセージを体現している〉と西村さんはいう。その結果私たちの身の回りには、そうした仕事の結果としてできたモノであふれることになる。
〈たとえば安売り家具屋の店頭に並ぶ、カラーボックスのような本棚。化粧板の仕上げは側面まで、裏面はベニア貼りの彼らは、『裏は見えないからいいでしょ?』というメッセージを、語るともなく語っている。〉
でも
〈人間は『あなたは大切な存在で、生きている価値がある』というメッセージを、つねに探し求めている生き物だと思う。〉
だから
〈『こんなものでいい』と思いながらつくられたものは、それを手にする人の存在を否定する。とくに幼児期に、こうした棘に囲まれて育つことは、人の成長にどんなダメージを与えるだろう。〉
ここまで読んで深く考えさせられた。私は「こんなもんでいいでしょ」という態度で自分の仕事に取り組んではいないか。そして、私たちの周りは・・・・・?
「自分の仕事をつくる」は、西村さんが「これは!」と思う「いいモノをつくっている人」たちにインタビューして、その働き方をまとめた本である。
八木保さんや象設計集団や柳宗理さんなど優れた仕事をしている人たちの12のインタビューと西村さんのコラムが収録されている。
5×緑をはじめて7年。ものづくりのはしっこに身を置かせてもらって現場をのぞくうちに、胸の中にもやもやとたまるものがあった。漠としていた問題意識の核心をわしづかみにされて「ホラッ、これでしょ」って見せられたような新鮮なおどろきとスッキリ感。そして、心にしんとしみてくるメッセージが、その「まえがき」には詰まっていた。
私がここであれこれと解説するよりも「まえがき」を引用させていただいた方が早いと思う。
著者の西村さんは、「まえがき」をこんな風に始めている。
〈目の前の机も、その上のコップも、耳にとどく音楽も、ペンも紙も、すべて誰かがつくったものだ。街路樹のような自然物でさえ、人の仕事の結果としてそこに生えている。〉
けれども〈様々な仕事が『こんなもんでいいでしょ』という、人を軽くあつかったメッセージを体現している〉と西村さんはいう。その結果私たちの身の回りには、そうした仕事の結果としてできたモノであふれることになる。
〈たとえば安売り家具屋の店頭に並ぶ、カラーボックスのような本棚。化粧板の仕上げは側面まで、裏面はベニア貼りの彼らは、『裏は見えないからいいでしょ?』というメッセージを、語るともなく語っている。〉
でも
〈人間は『あなたは大切な存在で、生きている価値がある』というメッセージを、つねに探し求めている生き物だと思う。〉
だから
〈『こんなものでいい』と思いながらつくられたものは、それを手にする人の存在を否定する。とくに幼児期に、こうした棘に囲まれて育つことは、人の成長にどんなダメージを与えるだろう。〉
ここまで読んで深く考えさせられた。私は「こんなもんでいいでしょ」という態度で自分の仕事に取り組んではいないか。そして、私たちの周りは・・・・・?
「自分の仕事をつくる」は、西村さんが「これは!」と思う「いいモノをつくっている人」たちにインタビューして、その働き方をまとめた本である。
八木保さんや象設計集団や柳宗理さんなど優れた仕事をしている人たちの12のインタビューと西村さんのコラムが収録されている。
そこには新しい視点を開かせてくれるたくさんの言葉が詰まっていて、一時(いっとき)はお守りのようにいつもかばんに入れていた。
最近、「安い!」とか「早い!」とか「便利!」とかいうのはもういいんじゃないかと思うことがある。
もちろん、価格は商品にとって大事な要素だし、便利なグッズに囲まれて怠惰に生活する私が言うのも気がひけるが、「安い」とか「カンタン」とか「手間要らず」とか、そんなことばかり追い求めているうちに、大切なものがボロボロと指の間からこぼれ落ちていくようで、不安になる。
こんな流れを少しでも変えることができるのだろうか。
そんなことを感じていたときに、この本に出逢ったのだ。
そして「まえがき」の言葉に勇気をもらえた。
〈結果としての仕事に働き方の内実が含まれるのなら、『働き方』が変わることから、世界が変わる可能性もあるのではないか。〉
〈この世界は一人一人の小さな『仕事』の累積なのだから、世界が変わる方法はどこか余所にではなく、じつは一人一人の手元にある。〉
あぁ、本当にそうだなと思う。
この世界がどうであるのかは、自分次第なのだと思い定めることから小さな変化がはじまるのにちがいない。
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今月、西村さんの素敵な本が出版されました。
「いま、地方で生きるということ」(ミシマ社)です。
実は、西村さんにランドスケープの仕事をテーマに本を書いていただけないかと画策しています。
実現するかどうかは私の説得力次第かも(?)です。
「いま、地方で生きるということ」(ミシマ社)です。
実は、西村さんにランドスケープの仕事をテーマに本を書いていただけないかと画策しています。
実現するかどうかは私の説得力次第かも(?)です。
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