恵比寿日和
桜に
2010年4月 6日
君を待たせたよ 桜散る中を歩く 碧梧桐
桜はあっという間に散るというが、意外にしぶとい花だと思う。
ちらちら咲き始めて散りおわるまでに、雨に打たれても風に吹かれても、意外や意外にびくともせず自分の花期というものをしっかり全うする感じがする。
今年も桜の時期。
先週末の雨にも負けず、まだしっかり満開の風情をみせてくれている。
でも、本当はこれから散っていくときの桜のほうが好き。
勝負のついた試合を巻き戻しのビデオでゆっくり見るように、安心して見られる。
一番好きなのは、3部散り?くらいの時期。
花びらが舞い散る中をふらふら歩いていると、本当にこれがこの世なのかと、うっとりしてしまう。
冒頭の句は、桜の時期が来るたびに思い出す俳句。
子供のころ通っていた小学校の裏山のふもとに、この句碑が立っていた。
「なんて素敵なんだろう」と思ってから、もう半世紀近く。今もこの光景を思い浮かべるだけであの頃、胸いっぱいに感じた幸せな気持ちがよみがえってくる。
桜の名句は数多いが、自分にとってこの句ほど好きな桜の句には未だ出会ったことはない。それでも桜に時期が来ると、下手を承知で、桜の句を詠みたくなってくる。
耳底の 桜の揺れが とどまらず 結女
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