恵比寿日和

ものみんな 位置に着きたり 雪の夜

もう春。というころになって、決まって雪が降る。

淡い春の雪は、ふわりと落ちて、すぅ~っと消えていく。

空から落ちてくる雪はもっといっぱいあって、もしかしたらこうして地面にたどりつく雪は、かなり幸運なのかしらん、なんてふと考えている。

 

雪の句といえばいつも口ずさんでしまうのが、

 

 いくたびも雪の深さを尋ねけり  子規

 

病床の子規が、庭にどれくらい雪が積もってきたのか、たびたび家人に見てきてもらっているという光景だ。

寝たきりで身動きの取れない子規にとって、静かに降り始めた雪がどうなっているのか、気になって仕方なかったのだろう。この句を思い浮かべるたびに、自分が家人になって、雪の様子を子規に伝えているような錯覚を覚えてしまう。

 

でもって、先月の句会のお題の一つが「雪」

こんなにも雪に思い入れることのできるワタシなのだから、いい句がいっぱいできておかしくないはずなのに、これまたイメージが広がりすぎて難しい。

 

でも、今回、先生の素晴らしい俳句に出会った。

 

   日が差せば雪は楽しみながら舞う  静魚

 

こういう俳句に出会うと、「参りました!」という感じになり、こういう句に出会える句会に出ていてよかったと思える。いかに自分が広がりすぎるといいながらも一面的なとらえ方しかしていなかったかと思い知らされる。さすがに!いつも厳しいだけのことはある先生である。

 

雪の句でいえば、今回はこんな句も素敵だと思った。

 

    鼓膜にてふんわりとまる雪の音   太平洋

 

ちなみに太平洋さんは、私より○○歳ほど年上の男性。こんな繊細な素敵な句を作られるので、びっくり。

 

でもって、蛇足の俳句。

 

    初雪を20セントといふBARで  結女

 

そう、あの20セントです

 

 

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