恵比寿日和
「つり鐘の蔕(へた)のところが渋かりき」
2009年10月15日
柿が色づき始めてきた。
柿といえば
「柿食えば鐘がなるなり 法隆寺」
が何といっても有名だが、私は同じ子規の句でも、この「つり鐘」のほうが好みである。
病間の子規が、京都の僧侶からお見舞いにもらった「つり(釣り)鐘」という柿を食べ、そのお礼代わりに読んだという句だという。
食べた柿の、その蔕のところが渋かった。ただそれだけのこと。
でも、このときの子規は不治の病に侵されていた。
近づいてくる死を前にして、これが最後の柿かもしれないと思いながら、はじめての口にした品種の柿のヘタのところが「渋かった!」。
それはきっと子規にとっては、「大発見」な出来事だったに違いない。
病床にありながら、健康的だった子規の晩年の生き方は「仰臥漫録」などの書物を読めば歴然である。
淡々と何気ないようにみえる句のどれもが、いつ読んでも味わい深く、すがすがしい気持ちにさせてくれる。
さて、今月の句会の兼題は「柿」......
同郷の大先輩でもある子規に敬意を表して何とか 「会心の句を!」と思ったのだか、これがなんともデキナイ。
柿届く 15万石 城下より
ちょっとおふざけっぽいかな~思っていたのに、2人が点を入れてくれたので、ちょっぴりうれしかった。
さすがと思える柿の句がいくつもあったので、こっそりご披露。
木守柿と名前を変へてひとつ柿 桃兎
モノクロの里に灯りし熟柿かな 静夜
柿は晩秋の"ともしび"だと実感した次第。
結
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