活動レポート&里山便り(2013年2月)
冬の里山交流記 エピソード3 「ヤジロベエの天才」 (2013年2月26日)
先生は、木工細工も料理も得意な振興会のアイドル、「キョッ(シ)さん」。
(注)シの音はほとんど発音しません。
この日のためにいくつもヤジロベエを作ったのか、右と左でバランスの取れる枝を瞬時に見分ける!
左右がつりあわず、モタモタしている私が、救いを求めるようにキョッ(シ)さんを見ると、右側の枝を捨てて、即座に「コレがいい」と選んでくれた。
「エーッ、コレ!?」。
それまで私が作っていた枝は、きれいに円弧を描いていかにも右と左が相似形の枝。
でもキョッ(シ)さんが差し出した枝は、いびつに曲がっている。
ところが驚くなかれ、ドングリをつけるとこれが見事にバランスした。
キョッ(シ)さんは、ヤジロベエの腕選びの天才である。
弾はセンダンの実。
木にぶら下がった灯油缶を的に、的あて大会のはじまりである。
何回やっても一向に当たらない私(そう、子供たちに混じってしっかり参加していたのである。でも気がつくと大人たちも嬉々として参戦していた!。)の横で昭二さんが一発で灯油缶を揺らした。
一発必中、流石である。だてに昔遊んでいない。
というように、子供のためのイベントは、山の人たちの意外な(!?)才能を発見する場でもあったのだった。
2013-02-26 (Tue)
冬の里山交流記 エピソード2 「これナァーンダ!?」 (2013年2月20日)
さて、下の写真の中央に浮かぶ不思議な物体は何でしょう?
答えは氷です。
「お昼だよー」と山のお母さんたちに呼ばれて、雑木林から下りてきた子供たちは、
凍った池を見つけて早速遊びはじめた。
子供は、遊びを見つける天才だ。
小さな流れに張った氷を割って、池まで運んでは、土手の上から投げて、
氷を割る遊びに夢中になり始めた。
写真は、しめしめ超特大の氷をうまく割って「エイヤッ」とばかり投げた瞬間である。
土手の上では大人たちが「あーあ、あんなにはしゃいだら、誰か水にはまってしまうぞ」と言いながら、尻もちつく子がいても慌てず騒がず、鷹揚に、でもしっかりと見守っている。
大人たちが先回りして、全ての危険を取り除いて、指ひとつはさむ隙間もないように
厳重にに管理された都会の遊び場。
「正しくケガをする」ことを子供たちは、いつ学ぶのだろう、と思ってしまう。
「子供は風の子」。もう死語かな、と思っていた、そんな言葉を久しぶりに思い出した。
ガラス屋さん!?、いえいえ、上手に大きな氷を割り取ることができて、意気揚々。
池までセッセと運ぶ子供たちです。
氷の上を駆け回る子供たちのかたわらで、一人静かに何かを拾い集めている男の子がいた。
彼の心を捉えたのは、不思議な形をしたハスの実。
「これには、こんなに種が入っているよ」とわざわざ見せに来てくれた。
末は植物学者かな。こんな子がランドスケープ・デザインの仕事をしてくれるといいのだけれど。
2013-02-20 (Wed)
冬の里山交流記 エピソード1 「迷子じゃない大人たち」 (2013年2月14日)
あんなに晴れやかな子供たちの歓声を久しぶりに聞いた気がする。
子供たちに自然の中で遊ぶ楽しさを教えたい!そんな思いから生まれたイベントだ。
きれいに手入れされた雑木林の中には、山の男たちが一生懸命つくったであろうブランコやジャングルジムやツリーハウスが並んでいる。
木の枝とロープでつくられたたくさんの遊具。
この日ばかりは、みんながトム・ソーヤーやターザンだ。
やんちゃな子も恥ずかしがり屋の子も全力で遊んでいた。
振興会の会長さんが息を切らしてブランコを押している。
弾むような声。子供たちの身体もロープやブランコの上で弾んでいる。
緩んでしまったロープを直しに山の男たちが駆けつける。
そんな混じり気のない山の人たちの優しさに触れて、心が温かくなっている自分がいた。
外気温は0°C。でもちっとも寒くなかった。
前のブログ(恵比寿日和)で「大人の迷子たち」というエッセイがあることを書いたけれど、ここには「迷子の大人」はいない。
「本物の大人たち」が、冬の日だまりのような眼差しで子供たちを見守っていた。
写真 1-3枚目 撮影 米田和久氏
2013-02-14 (Thu)