活動レポート&里山便り

市貝サシバの里と馬頭の森(前半)

新緑の芽吹く六月。

オオタカ保護基金さんのイベントで栃木県市貝市へ、そこからさらに5×緑の植物生産でお世話になっている馬頭の森へ、1泊2日の里山巡礼に行ってまいりました!!

 

オオタカ保護基金さん主催のイベント、「田んぼのいきもの 観察会&里山保全活動」は残念ながら雨天で次の日に順延。次の日に馬頭訪問を予定していた我々を雨の中、オオタカ保護基金の遠藤さんが彼らの活動フィールドである市貝市の谷津田をご案内してくださいました。

 

谷津田とは丘陵地が浸食されて出来た谷状の地形である谷津を利用して作られた田んぼのことで、治水技術が発達していなかった古来は、集水域であるため容易に湧水が得られ、稲作に向いた場所でした。しかし、稲作を機械で行うようになった今日では、山間の小さな田んぼは管理がしにくく、真っ先に放棄田となることが多く、管理されなくなった環境下で荒地となる場合が多いようです。

 

その一方で、谷津田の生態系は、小さな範囲に、森林や森の要素、田んぼや畦の里の要素など、さまざまな生きものが生活するに必要な環境が凝縮されているため、生物多様性を重要視する近年はその価値が見直されています。

オオタカ保護基金さんが守っているサシバも、この谷津田を好んで生活するため、谷津田の再生によって、サシバの保全と環境の保全を同時に行っているとも言えます。

 

さて。そんなわけで。

雨の中、大人たちがはしゃぎまわって一日早い小さな里山観察会。

カエルの鳴き声が響く畦の上、網を振り回し大奮闘!

そして大物を捕まえました!!絶滅危惧種に指定されているタガメさんです!!!キャー!!

かつては「水中のギャング」(wikipediaより)と呼ばれていた(らしい)、獰猛な肉食性のタガメさんです!!その腕で獲物をギュッと捕まえて、体液をチューっと吸うらしいです.....ほんとに怖い!!はじめて実物を拝見いたしました。ナーセリー便りをいつも書いてくださっている矢澤ナーセリーの矢澤さんも初めて見たという、奇跡の出会いです!形がもう、獰猛さを物語っており、女子一同絶句。(もちろんごあいさつ後はちゃんと田んぼにお帰りいただきました。)

本当に豊かな生物多様性をなしているんだな。と実感。他にもシュレーゲルアオガエルやオタマジャクシ、ホトケドジョウなどたくさんの出会いがありました。

 

 しかしコンパクトな環境とはいえ、管理するのはとても手間がかかる、というのは一目瞭然。

田んぼに水を引くための小さな水路(てび)と畦を広く取って、サシバが獲物を見つけやすくする工夫や、すべて手作業で行っていた時代と同じ草刈りの道具を見せていただき、その情熱と果てしない手間を思わずにはいられませんでした。

 

 

 

何気なく過ごしていると関わることのない世界ですが、私たちが思い描くような里山の風景や鳥や蝶や虫が生きている世界が本当は失われつつあり、日々汗を流して守っている人たちもいるのだということを改めて知りました。

この風景は日本の昔からの素敵な風景なんだよと私たちの子供にこれからも伝えられるのだろうか。では私たちに何かできるのだろう、まだなにも答えは出てません。

 

山や田んぼや植物や動物は、今日も元気かな

 

まずはそんな風に思うきっかけをいただいた一日でした。

(後半につづく...!!)

 

 

 

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