5×緑ニュース
「新建築10月号」に「時がつくる環境--アクロス福岡の25年とこれから」が掲載されています
1995年に竣工したアクロス福岡が昨夏SNSで話題になりました。
いわゆる「バズる」という現象。完成から25年も経って話題になる建築もあるのか、と驚きました。
そのアクロス福岡をめぐる対談が「新建築10月号」に掲載されています。
25年経過後に実証されたことがいくつもあって興味深く拝読しました。
・当初植栽した樹種76種類が今は200種を越え、植生が豊かになり都市の生物多様性に貢献していること
・アクロスの緑は植物の蒸散の気化熱冷却によって、コンクリート面と比較して20°C以上の温度差があること。その冷却された空気が下降してヒートアイランドの緩和に貢献していること
・アクロス福岡は、一般的なビルの排水の標準ではなく「山が持つ排水システム」を取り入れており、それが有効に機能して水のオーバーフロー等がなかったこと
・防水については、植栽基盤下に空気層を設けることで、当初心配された植物の根の防水層への侵入は全く見られなかったこと
・風による倒木被害がないこと
・樹木の成長による荷重負担を検証するため、2014年に木の重さを算出したところ、アクアソイルを使うことで根の部分が少なく軽いので、地植えの木よりも軽いことが検証されたこと
アクロス福岡の計画当時は、屋上緑化に対する知見も少なく、新しい挑戦の連続だったと想像されます。
計画の経過を拝見していると、施主も設計もそこに果敢に挑戦していることに驚かされます。同時に、設計理念とそれを実現可能にする技術、そしてこの25年間、途切れることなく設計者が建物の管理に継続的に関わってきたことが、アクロス福岡の成功の要諦であったように思います。
この対談に寄せて基本構想を立案したエミリオ・アンバーツの言葉が印象的でした。
「私にとってこの建物は、『建物は都市に、緑樹は郊外に』という支配的な概念が、不健全な誤解であることを示す明確な証拠なのです」
1995年竣工時のアクロス福岡(本誌9507)。写真手前に天神中央公園。撮影/新建築社写真部
2017年の植栽の育った様子。植生は76種から200種へと増えてる。撮影/日本設計
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