5×緑ニュース
5×緑の学校「山本紀久さんと気ままに歩く フィールドツアー 野川公園・深大寺」レポート
10月19日に5×緑の学校「山本紀久さんと気ままに歩く フィールドツアー 野川公園・深大寺」を行いました。
野川公園の植物だけでなく、駅前の緑地でも公園へ向かう家々の庭木でも、山本さんの植物や生き物への目線は途切れることなく、お話も尽きることがありません。
ツアーの中のトピックスをいくつかまとめてみました。
1. 樹木について
1-1サクラ
・サクラに必要な空間は250㎡。ということは、並木なら16mピッチ。
・樹間から空が見えることがサクラの美しさだとすると、十分に空間を取ることが大切。
・ウメは近くで見るもの、サクラは遠くで見るもの――が伝統的な観賞法。
ウメは庭の手水鉢の近くに植えて、香りを楽しんだ。葉が水面に落ちて薬効も期待した。
・サクラは弱ると胴吹きといって幹の下部から枝を出す。
これを切って落としてしまってはいけない。
詰めて植えすぎたものは途中で間引くべき。
サクラは高さよりも葉張りを出すことを考える。
サクラの大木
サクラの胴ブキの様子
1-2 エノキ
・エノキは強くてどこにでも生えたので、江戸時代、一里塚に植えた。
旅人はエノキで、江戸時代から何里来たのかを知ることができた。
・葉は鋸歯が浅く左右非対称が特徴。
野川公園のエノキの古木。「時代を経た風格を感じる」と山本さん。
鳥のフンから芽生えたと思われるエノキの実生。
フェンス近くのため草刈りで刈り残したと思われる。
1-3 キンモクセイ
・キンモクセイほど芳香を放つ木はない。季節感を感じることができる木。
・庭木によく使われるが、本来大きくなる木。
・キンモクセイには雄雌あるが、日本には雄株しかない。
ジンチョウゲも雄株だけ。実に見所がないため。
深大寺にある古株。「4~5本を寄せ植えしたのではないか」(山本さん)
キンモクセイは高木性なので株立ちにはならない。
庭木に使われるが、本来広いところに植えるもの。
1-4 イイギリ
・おにぎりを包むことからこの名前がある。
・実はまずく、鳥も最後に食べる。
・葉が落ちた後、実が鈴なりになる様子は見所がある。
深大寺にあるイイギリの大木。
1-5 草地
・「虫の音の聞こえる草地」をつくる。
街から原っぱがなくなって、草地のデザインが大切になっている。
草地ができれば生き物もたくさん来る!
・草地の管理においては一律に刈らない。
刈り込むところ/半分刈るところ/あまり刈りとらないところと、分けて管理することで、多様な草地ができる。
「いつ、何回刈りとるか」の組み合わせを考えることがデザイン。
野川公園の草地
野川公園沿いの踏み路群落
1-6 アメリカハナミズキ(ハナミズキ)
・本来水辺に育つ樹木
・車道脇の街路樹に使うと、4~5mの高さで道路側の下枝を切られてしまうので枝が残らない。
そういう意味では街路樹には向かない。
・新宿御苑にあるハナミズキは、日本で初めて入れたもので大変素晴らしい。
2.野川公園
昔ながらの二次林の姿が残る園内の森
台風による増水の痕の残る野川
野川の川辺に鳥が運んだクワの木が並ぶ
クマノミズキの葉は糸を引く
左から、クサキの花、ゲンノショウコ、ヨメナ
野川公園は木の自然樹形を知ることのできる貴重な場所
3.新小金井駅から野川公園
3-1 駅前の緑地
クス「1本の大木があるだけで公園になる」(山本さん)
ケヤキ「2本で絵になっている。3本でもいい。4本だと絵にならない」(山本さん)
フイリのトウネズミモチの生垣。先祖返りしたものが出現して、フイリとフイリでないものの混ぜ垣になった。
サツキは強いが根が浅く、乾燥に弱い。
この夏のように暑いと傷んでしまう。
公園に下草は大切(写真は野川公園)
「都会の公園はマテバシイばかり。下草もなく真っ暗。降った水を貯める枯れた草は、養分になり分解されることで空気を土中に送り込む」(山本さん)
見事なカイズカイブキの生垣、玉散らしのマツ、門冠のマツ、この辺は仕立て物の庭木が多い。
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