5×緑ニュース
テイカカズラの戦略 その1
先日、里山ユニットをお納めした先からこのような質問がありました。
「テイカカズラはよく花が咲かないという方があります。
たとえば、葉を何枚以上つけないと咲かない、日陰だと咲かない、など
花を咲かせる条件などあれば教えてください。」
最近では、主にグランドカバー用に育苗されたテイカカズラで花の咲かないものが市場に出ているようです。
お送りした里山ユニットのテイカカズラは、もちろん花の咲くものです。
花つきについて、いつも里山ユニットを製作していただいている矢澤ナーセリーさんにお尋ねしたところ、こんな答えが返ってきました。
植物の種子は、親木の近くで発芽すると、親木に付いている病虫害の被害を受けやすいので、
なるべく親から離れた場所で発芽しようとして、遠くに種子をたどり着かせる戦略を持っています。
自力で遠くへ飛ぶようになっていたり、動物や鳥に運んでもらうようになっていたり、風で飛んでいくようになっていたり。
そんな中、テイカカズラは風で種子を遠くに運ぶ戦略を持っています。(種子に綿毛が付いているので分かります)
そのため、種子が遠くに飛ばされる条件が整うとよく咲くようになります。
具体的には、ツルが絡まって登っていったり、立ち上がり気味になると風を受けやすくなるので、よく咲きます。
逆に地べたを這うように伸びていると、風を受けにくいので咲きにくくなるようです。
地べたを這っているものを絡ませて登らせるとよく咲くようになったりします。
葉の数や日照条件ではなく、風を受けやすいようにして上げるのが花を咲かせるコツです。
なるほどー。植物それぞれに子孫を残すための「戦略」があるというわけです。
テイカカズラの「戦略」について、先の質問をいただいた先にお伝えすると「植物って面白いですね!」と喜んでくださいました。
矢澤さんから更に補足の説明がありました。それによると
テイカカズラが鞘を割って種子を飛ばすのは12月に入ってからです
これは私の推理ですが(多分間違いないです)、12月になると下草がほとんど枯れるので、
この時期に種子を飛ばすと地面にたどり着く確率が高くなるからだと思います。
秋、まだ下草が枯れていない時だと地面にたどり着けず乾燥して発芽しにくくなる心配があるから、
冬の時期を選んで種子を散布しているのだと思います。
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