2013年6月の記事
Wパネルで荷重制限をクリア
2013-06-21 (Fri)
少ない荷重で緑量を確保するために、金網の二重カゴ(Wパネル)を用いました。
この春、川崎市内の高齢者施設のテラス・ガーデンをつくらせていただきました。
市街地で散歩もままならないお年寄りのために、屋上のテラスを庭にしようというもの。
季節を感じ、風を感じ、日射しを楽しめるような「元気でもりもりの緑にして欲しい」というのが
クライアントの要望です。
施設は既に完成していて、テラスには綺麗にデッキがはられています。
そこで、デッキの上に金網を組んで植栽基盤をつくる5×緑のシステムで緑化することになりました。
約100m2のデッキに緑のアイランドを7つつくって、周囲を常緑を主体とした里山ユニットで囲いました。
「季節や風や光を楽しめるもりもりの庭」にするために、枝を広げる高木や多様な植物を入れたいところです。
当初は、そのための土量を確保したプランになっていました。
ところが、そのままでは建物の荷重制限をオーバーしてしまいます。
場所によっては重量を1/2にする必要がありました。
荷重は土の量で決まります。しかし、土を減らせば植物も小さく、少なくなってしまいます。
そこで金網を二重にし、土圧の必要な高木の部分は当初通りの土量を、高木の足元の下草や
低木の部分は土の嵩を減らして重量を軽くしました。
金網をWにすることで、荷重制限に縛られない豊かな緑を実現することができたと思います。
※Wパネル方式は、特許申請しております。
馬頭の森 レポート2013
2013-06-11 (Tue)
6月2日、5×緑の里山ネットワーク「馬頭の森」を訪れた。
林床の植物の再生と都市緑化への提供を目指して管理の委託を始めて6年目。
元々、在来種の多く自生する豊かな森であったが、手入れを進めることで、一層多様な植生の回復が叶いつつある。
林床には、ニガナ、コアジサイ、ノアザミ、ウリカエデにウリハダカエテ、コナラやアオダモ等々バラエティに富んだ下草や実生苗を発見できた。
この花はクレマチスの原種。野の花は楚々とした風情のものが多いが、カザグルマは手の平ほどもある純白の花を咲かせ、林床で一際鮮やかに存在感を放っていた。その様は、森の女王の様な品格さえ感じさせる。
花びらと見えるのは実は萼片だそうである。
「馬頭の森」からの植物提供は、当初「山取り」が中心であったが、今では「生産」にステップアップしている。
側面植栽に使うテイカカズラは既に挿し木での生産がスタートしている。
この日も、山の植物で挿し木で増やしやすいものを選びながらリボンを付けて回った。
栃木では、原発の影響で雑木林の木の主な用途であったシイタケ原木の出荷が思うにまかせない。木の放射能検査は行われているが、風評被害を嫌って引き受け手がないという。
シイタケ生産者は保証のために「捨てるためのシイタケ」をつくり続けている状態であり、原木を供給してきた山に保証はない。
前日の林業振興組合の植物観察会に講師として招かれた植生調査の専門家、荒井さんと山をまわった