5×緑ニュース
設計者ウォークスルー
2012年7月13日
造園家山本紀久氏の「造園植栽術」を見ると、「管理」に一章が割かれていて、庭にとっていかにその後の管理が重要であるかがわかる。
植栽がよくなるのも悪くなるのも管理次第であってみれば、当初からどのようなメンテナンス体制を確立しておくかは極めて大切なことなのだが、実際には施工を終えるとそれまでの流れが途切れてしまって、なかなかそれができない。
山本氏は先の著作の中で、「管理者が作成した管理計画書に基づき、事業者は、監理者(設計者)と実際に作業を行う管理者(施工者)を加えた3者によるウォークスルーを行い、事業者の意向を受けた監理者(設計者)は、管理者(施工者)に対して目標を伝達し管理内容の確認を行う」ことを提唱している。
5×緑が植栽のメンテナンス管理をさせていただいている山種美術館では、毎年ランドスケープ設計の田瀬氏による管理の指導が行われている。
先月末の剪定作業時も設計者の指導を受けて、作業を行った。
室内のワークスペースから見える緑とその向こうの景色を考え、在るべき高さに樹木の高さをそろえる。
開花したノシランは目に付くように周りの枝葉を整理。
植栽の見所を考えながら、風景をつくっていく。
庭や建物の緑は、年を経るごとに成長し、変化する。
数年後、或いは数十年後の姿を見通して、設計をしているのであれば、設計意図を実現するために、毎年の管理に設計者が関わるのは、ごく自然のことのように思う。
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