5×緑ニュース

「生物多様性の庭」に思う 2

前回に続いてのレポートです。

昨年12月、さるハウスメーカーの方と馬頭の森を訪れました。

これから開発する住宅地の一角に里山の植物を使った植生マットを入れたいとのこと。
前回のレポートで朝日新聞の記事をご紹介しましたが、そこで取り上げられている「生物多様性に配慮した庭づくり」のまさに先行的な試みをされようとしています。

*12月3日朝日新聞記事「都会の庭 命を育む」
https://www.5baimidori.com/press/56.pdf

ところが、私たちはいただいた数量を用意できないとお答えするしかありませんでした。
採りすぎると植物の回復が望めないので、山は広くても都会に提供できる緑はわずかです。
それだけ稀少なものともいえるのですが。。。

用意できるのは必要数量の2割です。
植生マットがどんな植物で構成されているかはわかりません。
(つまり、春にならないとどんな植物が生えてくるかわからないというわけですね。何しろもう冬ですから、ますますわからないのです)
万一、帰化植物が生えてきたら抜いてください。
もう、冬なのでエリアを広げて探すことはできません。

よくもこんな言いたい放題を言えたものだと思いますが、「里山の事情」からすればこの通りなので仕方がありません。
とはいえ、ビジネスの場であることを考えると、かなり非常識なことを申し上げているという自覚はあります。
いわゆる造園の仕事では、指定された規格の植物を指定された納期通りに納めるのが仕事だという意識が強いように思いますから、なおさらです。

ところが、そのハウスメーカーの方は「山へ言ってみたい」とおっしゃってくださいました。

山はすっかり初冬の風情。
林床の草類も冬枯れで、どのような植生なのか判然としません。
枯れ葉の上をサクサクと歩きながら、馬頭の森の管理をしてくださっている佐藤さんや奈良さんが、林床管理をしながら植生を守ることの大変さを訥々と話してくださいます。

この日は風が強くて、松籟の音を聞いたハウスメーカーのなかのお一人が、突然、子どもだった頃、山で遊んでいてよくこの松の鳴る音を聞いたものです、と思い出話を始められました。

「里山の事情」は、現場でお話しすると俄然説得力を増します。

来てくださったハウスメーカーの方もそのことを理解し、懐深く受け入れてくださいました。

そして、5×緑としては、実験フィールドたる馬頭の森の経験を生かして、次ぎなるフィールドを求めたい、と思ったのでした。
そうしたなか、出逢ったのが、オオタカ保護基金のみなさんです。

次回は、オオタカ保護基金の遠藤さんから聞いたお話をご紹介したいと思います。

冬支度を始めた馬頭の森
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里山の暮らしも冬支度です
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