1964年竣工の全日本海員組合本部会館の改修工事に伴い、テラスやエントランスに里山ユニットを施工しました。
「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」の代表的作品と評価された会館を保存改修したもので、時代を経たものにしか出せない味わいのある建物です。
里山ユニットは、この度の改修工事で復元されたサンクンガーデンをはじめ、1階のテラスやエントランス、屋上に配置されています。
1000角、900角、600角、横長タイプなどそれぞれの場所に合わせて細かくサイズが設計されました。
1000角には樹高3.5mのヤマボウシが植えられています。
ヤマボウシは上向きに花を付けます。大階段から降りるときに見下ろす先の花の姿が今から楽しみです。
そのほかにも、アオダモやエゴノキ、イロハモミジやソヨゴ、イヌシデ、マサキ、アジサイ、草花もオミナエシやキキョウ、ナデシコなど50種類以上の日本在来の植物が混植されました。
常緑、落葉取り混ぜた植栽は、枯れ枝や紅葉が冬さびた情趣を醸しています。
キチジョウソウ(吉祥草)はその名の通り、縁起の良い花とされています。
建物の完成を祝うように屋上に花を咲かせていました。
この建物は、前川國男建築設計事務所を経て独立した大高正人氏によって設計されました。
その後、改修や増築をしながら全日本海員組合様の手で丁寧に使い続けられてきました。
老朽化や耐震問題から建て替えも検討されたとお聞きしていますが、最終的に建物を保存することになり、大高事務所に在籍した経験を持つ野沢正光氏の設計事務所、野沢正光建築工房がその設計を手掛けられました。
建物が代々引き継がれてきたのと同様に、設計もその系譜を守りながら新しい担い手へと引き渡されています。