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「緑の質」〜日本の在来植物を大切にする



在来種のよさ

5×緑は「まちに季節を取り戻す」ことを大きな目標にしています。 暮らしの中で季節を感じる機会が少なくなっている原因の一つには、日本の草木が身近な空間から減っていることがあるのではないでしょうか。

私たちは在来種を中心にした植栽を心がけています。在来種は古くから(江戸時代以前から)日本に生息してきた動植物を、外来種は国外から人為的に持ち込まれた種を指します。
後者には、草花でいえばシロツメクサ(クローバー)やブタクサ、セイタカアワダチソウなどの帰化植物が該当し、中でも競争力が高く、繁茂して生態系の撹乱を起こす強い種(魚でいえばブラックバスのような種)は、ときに社会問題にも発展します。帰化植物が増えると、昔からその地域にいた昆虫や鳥は居場所を失ってしまいます。
とはいえ5×緑が在来種を扱ってきた理由には、そうした問題意識以上に、在来種のよさに由るところが大きくあります。

 

場所性を表現する緑

在来植生は日本で昔から親しまれてきた生き物たちの住環境であり、地域ごとの生態系の基盤です。たとえば在来の植物が生えていれば、バッタもチョウチョもやって来るし、鳥の姿を見たり鳴き声を耳にする機会も増えます。

小動物に比べると植物は物静かで、見た目も一見同じ「緑」ですから、在来/外来の区別を意識したことがある人はあまり多くないかもしれません。 しかし、建設地周辺の生態系を貧弱にしてゆく緑と、豊かにしてゆく緑の二つの選択肢があったら、後者を選びたいクライアントの方が多いのではないでしょうか。

在来種のよさは育ちやすさにもあります。異なる風土から運ばれてきた帰化植物は、温度管理や肥料の投入等の人手とエネルギーを多く要するものがあります。
5×緑の緑化は本来その土地に生えているような植物を植えるので、育成に無理がなく、病気にも罹りにくく、その類のメンテナンスの負担が軽減されます。
リニューアル頻度の高い商業施設はともかく、ビルや公共施設や住宅などの建築物は、まちに存在する時間も長くおのずと公共性を帯びています。こうした空間には、その場所に存在しやすい植物を植えてゆくことが理に叶っていると思うのです。

現代のまちを構成する素材には新建材や外国産の資材のように地域性を欠いたものが多く、外構に植えられる植物にも同じ傾向が見受けられます。どこにいるのかよくわからなくなるような緑でなく、その場所らしさが感じられる緑をつくり出してゆく仕事に、私たちはやり甲斐と面白さを感じています。

 

まちと里の両方に役立つ事業を

厳密に考えると在来種の定義は難しい問題です。取扱いについても、「水系(河川)単位で固定するべき」という考え方もあれば、「遺伝子レベルで整合性を保つべきだ」とする考え方もあります。

私たちは日本列島を、大きく10の植物相ゾーンで捉える考え方を参照しています。これは環境省の「生物多様性国家戦略」に準拠するもので、そこに引かれている線を越えて移さないことを原則に植物の調達を図っています。

「生物多様性保全のための国土区分/試案」(環境庁1997)より。日本列島の地史的な成立経緯や、地域生態系の支持基盤である植生に影響を与える気象要素に着目して、国土が区分されている。

*但し…は、5×緑が独自に設定している。

しかし現在、在来種の入手は容易ではありません。日本本来の植物相は帰化植物やアスファルトなどの舗装路面に席捲されて、都市郊外からさらに中山間地へ後退しています。里山においても、在来植物の24~25%が既に絶滅危惧種に指定されている状況です。
先の線引きの中では必要な樹種を調達しきれないこともあるので、5×緑が側面植栽で大量に用いる関東産の定家葛(テイカカズラ)については、私たちの生産者ネットワークの中で自家栽培できる体制も整えてきました。

「地域性種苗生産者の育成」は、時間はかかりますが、大事な仕事だと考えています。
里山の植生は、昔から人が手入れをすることで保たれてきました。とくに草花は人が手で草刈りをしないと維持できません。5×緑は、森づくりや田畑の活用を考える里山の人々とも協力しながら、草木の供給を受けています。

私たちは、日本の在来植物を用いることで、まちと里の両方に役立つ事業を育ててゆきたいと思っています。